恒例となった龍門山のムラサキセンブリ鑑賞に出かけた。去年は今頃満開になっていたが一昨年はほとんど咲いてなかった。ネットを見ても出ている情報は少ないし不確かで行ってみないと分からない。登山者の半分くらいが書き込むようになれば信頼度が出てくるんだが、登っている大半が中高年者だから無理だろうなあ。
これまでは7時に家を出て粉河に着くのは8時半頃のパターンが多かった。だがその頃の和歌山線は通学高校生で満員になる。車内でノンビリ朝食をとるなんてことは出来ない。マア新しい車両になってからは食べにくくなっているけど。今日は6時19分の急行に乗り粉河に7時半過ぎに着いた。この時間帯は通勤客が多く乗っていた。雲一つない快晴、紅葉には早く山々は緑一色。
粉河で学生の大半が降りた。ということは粉河高校の生徒か。駅裏側（南側）に出てバス停ベンチでサンドイッチと缶コーヒーの朝食。今までは山行き前のカフェが定番だったけど、昨今の気持ち悪い状況では入る気がしない。人のいない広い所で食べている方がリラックス出来る。正面にはドッカリと龍門山が見えている。
朝方の空気は冷たく長袖カッター（純毛薄手）を着て歩いても汗をかかない。紀ノ川の鉄橋が長く感じる。道路沿いにはキーウィ果樹園が並んでいて大きな実を付けていた。急傾斜の林道を上り出すとカキ、ミカンの畑になった。アサガオみたいな水色の花が咲き乱れている。
紀ノ川が段々見えてきた。今日も重い靴を履いて足慣らし。珈琲の空缶がぶら下がる所を通過して田代峠分岐に着いた。駅から1時間ほど歩いたのにここの高度はまだ300mほどしかない。頂上が780mだから半分も来ていないわけだが距離にすると7割は来ている。
登山口までのほぼ水平道はアキノキリンソウとノジギクの花盛り。暫くしたら老年カップルが降りてきた。“もう登りはったんですか”と聞くと“田代ルートを登るつもりが間違えて中央ルートまで車で来てしまったから引き返している”、なるほど。中央ルート登山口着9時20分。駅を出たのが7時50分だから1時間半かかった。遠く和歌山の海も見えている。今日は絶好の山日和。そう暑くもなく心地良い風が吹いている。山道に入ると栗のイガがいっぱい散らばっていた。実も2個見つけた、よく探せばもっとあるんだろうが“栗拾い”に来たんじゃないから先を急ぐ。
今日は久しぶりに山頂から田代峠に廻って降りるつもりだ。そっち側にもヒョッとしたら花が咲いているかも、なんて期待を込めて。明神岩着10時15分。素晴らしい大展望台。360度じゃないけど高度感があり爽快。ここに来ると昔行ったカオプラヴィハーンの断崖を思いだす。
帰りは寄らないのでここで昼食（スーパーで買ったニギリメシ弁当）を食べてると2人連れが登ってきた。ザイルを持っている。どうやらここで岩登りの練習をするようだ。話を聞いてると一人はガイドみたい。マンツーマンの岩登り講習なのかなあ。この辺りでは貴重な練習場所なんだ。ここでクライマーに会ったのは初めて。
さあ今年のムラサキセンブリはどうか。頂上下の草原ではほんの僅かだけセンブリが咲いていた。ここでこの調子じゃ……という不安は的中。頂上すぐ東の斜面に着き探したが、見当たらない。ようやく花が付いてるのを2株だけ見つけた。でも色が薄いし元気が無さそう。まだ蕾が多いからこれから咲いてくるんだと思うが……もう1回来てみようか。咲くという確証もないしなあ、この花を見れるには隔年みたい。
11時10分龍門山に着くと中年カップルが休んでいた。そう良くもない展望なので通過。白い野菊ばかり咲いている。ハギが生い茂り道に覆い被さっている。少し降りて磁石岩、峠の中間辺にあったんだと思っていたけど頂上に近い所だったんだ。このルートを歩くのも10年以来だから記憶が曖昧。
なだらかな尾根を下っていると下の林道で会った夫婦連れが登ってきた。田代峠着11時40分。少し休憩。峠と言っても反対側に下る道はない。こんな場所だったかなあ……そうインパクトがない所だ。
田代峠からの下りは沢を歩くような所もあり中央ルートに較べると悪路と言える。昔の記憶では巻き道に桂の銘木があったような気がしている……なんか曖昧なんだが。でもそんな所はなかった。記憶違いか。登山口に着いて着替えた。あたりはアキノキリンソウが群生している。龍門山が紅葉したらどんな感じになるのか見てみたい。お山は1年12回（毎月）登ってみないと良さが分からない。そんな山は金剛山と六甲山くらいしかない。
粉河までの果樹園歩道。紀ノ川沿いの山はどこも同じような景色だ。物産販売所でレモンを訊ねると“今は青いのばかりで黄色いのは11月辺りから”。駐車場横の果物店でミカン、カキ、手作りコンニャクを買う。ザックに入れるとたんと山行の重量になった。粉河寺山門前の こかわ で休憩。イチジク酵素ソーダ（400円）。帰りの列車はポカポカして眠くなってきた。大阪平野を出るとプチ旅行してきた気分になる。