白山(別当出合~砂防新道往復)
1972年6月8日(木)~11日(日)


6月8日(木) 大阪(急行『立山4号』)

今日の列車は1ボックス占領出来た。


6月9日(金) 金沢、野町~白山下(バス)白峰(タクシー)市ノ瀬~甚ノ助ヒュッテ 【雨曇晴】

金沢着4時47分。薄明るくなっていたがドンヨリと雲に覆われている。雨が降っていたのか道が濡れていた。駅前で空を見上げると晴れ間も見えている。これから晴れてくるのかどか。

野町から白山下。そこからバスに乗り白峰。ウツラウツラしていくと晴れ間は多くなってきた。白峰からのバスはないからタクシーで市ノ瀬の少し先まで行った(2000円)。バテバテで甚ノ助ヒュッテ着1時30分。室堂までの予定だったが完全にバテてるので今日はここ泊まりに変更。今からなら室堂まで充分間に合うんだが。

途中で逢ったレンジャー2人に岩間温泉の道を聞くと、雪が多くて危険とのこと。向こうに抜けられないんだったら何所で泊まろうと同じだ。5時頃から次第に晴れてきた。雲も全くなくなり夕陽が綺麗。明日はサブザックで白山往復、岩間温泉は又の機会にしよう。


6月10日(土) 白山往復、甚ノ助ヒュッテ 【晴】

快晴に近い晴、風が強いので少し寒い。昨夜ゴソゴソ聞こえていたのはネズミらしい。ハムがなくなっていた。5時10分出発。雪渓が凍っていてツルツル滑る。ピッケル片手にへっぴり腰で通過。

黒ボコ岩の下は水場がいっぱいあった。道はハッキリ付いている。黒ボコ岩から弥陀ヶ原の雪原地帯に入る。朝日が反射して眩しい。サングラスをかけた。道が雪で覆われているから好きな所を歩けばイイ。段々雪が柔らかくなってきた。

雪を被った別山が素晴らしい。室堂着6時30分。ガランとした雪原に大きな建物が5~6軒建っている。目の前に聳えるは白山主峰の御前峰だがここから見るとあんまり良い形じゃない。近すぎるのか。

頂上まで40分。風がすごく冷たくなってきた。陽は照ってるんだが寒さが勝っている。景色を楽しむ余裕もなく風を避けるため岩陰に避難。遙かに北アルプス、乗鞍、御岳、南アルプスの眺めを期待してたんだが空気が湿気を含んでるのかいまいちの展望だった。レモン水が美味い。

20分ほど休憩してから下山。室堂に着き白山荘で休憩。小屋の人たちだけで辺りはガランとしていた。味気ないクラッカーを食べる。味噌汁が飲みたくなってきた。

帰りは南竜ヶ馬場方面に雪渓伝いに降りる。急な雪渓、グリセードが出来たら楽勝だったんだろう。1時間ほど掛かり南竜ヶ馬場に到着。上から見た時はほとんど平原に見えたんだが降りてみると起状がある所だった。コメツガと笹、残雪が調和した自然大庭園の様相。小屋は3軒建っていたが避難小屋だけ開いていた。

一面の大雪原、振り返ると降りてきた雪渓が急傾斜で落ちている。水平道を通りヒュッテに帰る。途中の万才谷では雪壁がほぼ垂直に立ちふさがり越えるのに苦労した。展望台からの別山は一級品の風格があった。コメツガ、シラビソなどの針葉樹も趣がある。

今日は週末なので登山者もチラホラいた。甚ノ助ヒュッテ着10時30分。空は青く別山が眩しい。日光浴をしすぎたのか背中と腹がヒリヒリしてきた。見ると赤く腫れている。明日はリュック担いで歩かにゃいかんのにまずった。残雪の別山を見ながらノンビリ座っている。もう少し高くしたら剣岳みたいに見えるんだが。ウグイスが鳴いている。ハイマツの枝がパチンと音を立てて跳ね上がってくる。

小屋の前でノンビリしていると京都から来たという単独行者に逢った。今日はここに泊まり明日は別山方面に縦走するという。男女の団体も登ってきたが喋る気にならなかった。

赤い夕陽が山襞に隠れていった。昨日ほどの綺麗さじゃないけど山の夕陽は郷愁を感じさせる。向かいの谷からウグイスの鳴き声が聞こえてくる。梅雨なのに2日間晴れた。


6月11日(日) 市ノ瀬(トラック)白峰(バス)金沢(急行『ゆのくに1号』)大阪 【快晴】

4時起床、昨夜11時過ぎに団体が入ってきて五月蠅かったので中々寝付けなかった。天気はだんだん良くなっていく、今日は暑くなりそうだ。

別当出合まで1時間10分の下り。名残惜しい別山を見ながら降りた。登山口駐車場には車が30台も停まっていた。マイカー登山大流行のご時世……でも行ける所まで車に乗って最短コースを歩くやり方は好きになれない。市ノ瀬まで行けばナンか食えるだろうと思っていたが間違い、食堂がなかった。途中は樹林と澄んだ渓流、ヒグラシ、ウグイスの鳴き声がこだまする気持ち良い道だった。日本縦断無銭旅行中の久高氏(九州の人)に出会った。

トラックが降りてきたので白峰まで乗せてもらう。白峰着9時30分。白峰発10時10分、ニュースで“石川県に異常乾燥注意報……金沢市の気温30℃、湿度29%……”と報じている。どおりで暑いはずだ。金沢までコックリしながら約2時間の乗車。

金沢に着くとムッとした大気に襲われた。荷を預けて兼六園まで行ってみたがこの暑さはたまらん。今33℃とか。こんな状況でニッカーズボン、純毛カッターなんだから蒸せてくる。ソフトクリームを頬張りながら彷徨いた。日曜日で人でも多くノンビリ出来ないので早々に帰った。

駅弁を食べるから昼食は軽くしようと日本食堂のサンドイッチを食べたが(少ないのに180円)。金沢のパチンコは締めすぎだ。駅弁『おにえ寿司』を買おうとしたら売切。金沢発3時急行『ゆのくに1号』乗車。全車冷房なのにあまり効かない。金沢で満員になった。加賀温泉辺りの車窓から見る白山は正にイメージ通りで見とれてしまう。福井まで来るともう白山は見えなくなっていた。ウトウトしているといつの間にか米原着、またうたた寝しながら淀川を渡り今回の山行終了。


[back]