去年の夏に始めて海外旅行（キナバル山）に行ってからマレーシアの楽しさが分かった。今度は妻と一緒にペナン島に行くことに。妻も海外に行くことは初めてで緊張するだろうけど、ペナンなら日本から直通で行けるしバスに乗り時間も少なくてすむ。
２月２４日（土） 関空（マレーシア航空）ペナン、ラササヤン・ホテル 【快晴】
6時前に目が覚めた。昨夜は隣の二人（息子と友達）がうるさくて寝にくかった。7時頃出発、今朝も寒い。荷物は機内持ち込み出来るだけのバッグだから苦にならない。難波発8時ラピート乗車。約7分で関空着。空は快晴。
国際線出発ロビーはいつもの如く満員。この時間帯が一番混んでるようだ。マレーシア航空のチェックインは9時からなので3階に降りてモーニングタイム。クロワッサン、フルーツ、コーヒー……で1000円は高いなあ。チェックインのあと出国手続。前回は金魚の糞で付いていったからやり方がよく分からなかったが以外と簡単。
出発ゲート19番。まだ1時間半もある。入ってからニギリメシを買ってないのに気がついた。ロビーで探すもサンドイッチ、ハンバーガー、寿司類しか置いてない。安物のニギリメシなんかじゃ金が取れんからか。隣の18番ゲートはロイヤル・ブルネイ航空（10時30分発）だったがほとんど人がいなかった。
今日の機種はエアバスA330、双発ジェット。1時間ほど前に民族衣装のクルーが乗り込んでいった。11時搭乗開始、ほぼ満席で日本人が多い。11時30分発、アナウンスはマレー語、英語、日本語の順。日本人スチュワーデスも2人（まあ美人の）乗務していた。映画に出てくるような大柄のニイチャンと優男風のもいた。きない雰囲気は良い。
天候も良くノープロブレムで上昇していく。ウイックロン長袖カッターと半袖Tシャツだと寒いくらい冷房が効いていた。詞子は寒いと言ってアノラック。30分ほどでドリンクタイム。ジュースとピーナッツ。1時間半くらい飛んでからランチ。行く前に見たのはビーフとシーフードだったが大阪発便のは“ビーフストロガノフ”と“チキン照り焼き”の2種から選択。別々のにしたが味はマアマア、アーモンド・プディングが美味かった。
食後は映画鑑賞。『ウオーターワールド』なんていうただのアクション物を見ていた。去年より1時間長いだけのフライトなのに6時間半はヤッパリ疲れる。席が狭いからか。南シナ海側は雨期なのでベッタリ雲に覆われている。飛行機は雲の上で陽差しがきつい。
着陸1時間前（5時過ぎ）にマレー半島東岸が見えてきた。入道雲が盛り上がり真下は樹林の海。ペナン到着のアナウンスが入り徐々に高度を下げていく。到着地の気温は30℃とのこと。
ペナン到着5時30分。この飛行機はクアラルンプールまで行くが、入国審査をここでおこないあとは国内線あつかいになる。イミグレーションのオッサン（インド系）と訳の分からん会話して税関もフリーパス。ムッとする大気、50万都市の人出。到着ゲートを出るとJTBスタッフが4名いた、ワイシャツ、ネクタイ姿で中華系。今回ツアーは全部で7名。ここで両替するのは時間が掛かるというのでホテルでやることにした。空港トイレは水浸しで荷を置く場所がなかった、女子トイレも同じとか。ここは中国人（マレー系）が特に多い、インド人、白人、アジア人などがごちゃ混ぜ。イスラムのチャドル姿は少なかった。
あとの2人組、3人組（どっちも女）が中々出てこないのでかなり待った。やっと出てきたのは6時半、みんな大きなケースを引いている。この時間になっても明るくムシッとしている。日没は7時過ぎとのこと。ライトバン（7人乗り）で出発。ホテルまでの途中で蛇寺観光。車を降りるとドリアンの臭いが充満していた。食べたかったんだが他の女性たちは興味がなさそうだった。参道脇には片足、片手他の障害者乞食が屯していた。境内に入るとお香の臭いがモウモウと立ちこめ、観光客の頭に蛇を載せ記念写真（ヤラセっぽい）。ここの蛇は全てヨロイハブ、三角頭で薄緑の縞模様。見た感じは温和しそうだが猛毒だから……大丈夫なんかな。昔はもっとウジャウジャいたそうだ。
ジョージタウン市街を通りバツーフェリンギ、タンジュンブンガを過ぎると道がクネクネしだした。詞子が吐く一歩手前でラササヤン・ホテルに着いた。8階建新館は本館（メインウィング）と同じ造り。真下に庭園、プール、海を見下ろし高度感抜群。ホテル周囲の木にはクリスマスツリーみたいな照明が吊されていた。これは正月期間だけという。今回の7人の内、ガーデンウィングは我々2名だけ、メインウィングが3名、ムティアラ・ビーチが2名とグループずつ別れていた。両替を20000円、これもホテルの儲けになるんだろう。
部屋は最上階8階の1806号室。8時近くになると夕焼けになってきた。真下に円形プールが見えている、浜は遠浅じゃないようだ。昼の機内食から何も食べてないからまずは腹に入れよう、疲れてるから和食がいいなあ。ホテル内の夜食レストラン江戸銀に行くとかなり混んでいた。一品物は遅れるというので寿司定食（44RM）、詞子は刺身定食（46RM）他。寿司の方はチャンとした米を使っていたが、刺身定食のご飯はタイ米、日本米のブレンド。メインディッシュの他は茶わん蒸し、炊き合わせ、酢の物、味噌汁。味は思っていたほど酷くなかった。入っている客はほぼ日本人ばかり。
外は真っ暗。何かドリンクでもとフェリンギバーに行くつもりがコーヒーガーデンに入ってしまった。こちらはマンゴージュース、詞子は椰子の柄入りアイスクリーム（両方で30RM）、中々美味い。このホテルには本館、新館合わせてレストラン・バーの類いが9ヶ所もある。滞在中にすべて回れるか、今日は先ず2ヶ所済み。
２月２５日（日） ジョージタウン市内観光 ラササヤン・ホテル 【快晴】
昨日は1日乗り物で疲れたのか熟睡した。7時前に起きて外を見るとまだ暗い。マレーシアと日本の時差は1時間、本当は2時間の場所なんだが。7時半になりやっと空が明るくなってきた。
朝食はガーデンテラスでブッフェ。タンジュンアルビーチ程じゃないが質量とも豊富。パンが10種以上、ジュース4種、デザートもいっぱいある。朝食抜きのハズの詞子も誘惑に負け朝がゆ、パン…次々食べていた。出発まで付近を散歩するつもりだったがすぐに時間になったのでフロントにパスポート、現金を預け外に出た。
今日のツアー予定は寝釈迦寺、コーンウォール砦を見てからショッピング、シャンパレスの飲茶とのこと。寝釈迦寺は行ってみたかったところ、ここも中国人（地元民かな）観光客が多かった。極彩色のゴテゴテ造りで、日本人にはハッタリ宗教みたいに見えてしまう。日本の仏教寺院はワビサビとかで暗く陰気な雰囲気に満ちているけどこちらは正反対。明るく派手な色彩、こっちの方が正しいように思う。本堂内は写真不可。33mの寝釈迦像、周囲にネ、ウシ、トラ……十二支の仏様。壁一面に小さな金色如来が描かれている。
外に出たら台湾の仏陀、四面八臂の阿弥陀様?などがいっぱい。全て赤いローソクなので血が滴っているように見えた。ナイロンズボンとウィックロンTシャツだけなのに汗ばんでくる。お次は砦。取り立てて言うような所じゃなかった。椰子の実ジュースを飲む。生温い清涼飲料水てとこかな。ボルネオで飲んだ時は冷蔵庫で冷やしてあったから美味かったんだ。公園にはマンゴーがぶら下がっていた。ごく普通の風景なんだ。
さてこれからは観光地じゃなくJTBとつるんでいる土産物屋巡り。最初の免税品店、ピューター製品などの店で客一人に店員が一人張り付いてくる。どのコースでも市内観光を入れるのはこんな店に誘導するため。バッグ、時計、宝石……観光客だけしかいない。どれも興味ない物ばかりで早く出たくなった。添乗員はノルマがあるから仕方ないんだろう。外の空気が吸いたくなり街に出てみるとペナンの雰囲気がする。白壁の家、食べ物屋台、緑の街路樹など。
2番目はもっと高級な金細工の店。日本人は億万長者だと思われているのかなあ。値を見る気もしなかった。こんな物買う奴がいるのかと思っていたら他のツアー客が買っていた。昼食はシャングリラ・ホテル（ジョージタウン）2階のシャンパレス。正月明けの日曜日とあってほぼ満席。中華風よりマレー風料理が食べたかったんだが値の張るものしか食べさせてくれない。担当してるのも中華系マレー人だから。飲茶セットはいずこも同じ。中華かゆから始まりシューマイ、揚げ餃子、ごま団子……最後がヤキソバ（中華風）、フルーツ（マンゴー、パパイヤ、スイカ）。
食後は皆と別れて自由行動するというと誓約書を書かされた。向こうの規則だからまあシャアない。ヤオハンの本屋で蛇の本を探してからジョージタウン観光案内所でシティマップ（1RM）を買い市内探索。陽差しはそうでもないが歩いていると汗が滲んできた。バス発着所のコムター下から地図の通り歩いていくと何やらおかしい、目の前にイースタン・オリエンタルホテルが見えている??。この地図は観光用で正確な地形を表しているわけじゃなかった。
なんとかチュリア通を南東に下りカピタンクリン・モスクの前に出た。クリーム色のドーム（モスク）が美しい建物だ。ムーア様式というらしい。頭の上からコーランの声が聞こえてきた。時間は1時半か、ビジターの案内板に沿って受付に行くと閉まっていた。ムスリム達がポラポラとムスクに入っていく。看板前で引き返した。
ピット通を南西に戻るとグリーンに彩られた寺院があった。中に入ると線香の煙が充満。通の突き当たりに塔が立っていた。地図にはMasjid Melayuと記されている。塀で囲われていた。次はクー・コンシ寺院。山門は工事中で分かりにくかったが横から回り込んで入るとゴテゴテ彫刻の本堂があった。キョンシー世界のような完全な中国寺院。観光客も少しいた、白人カップルは何処にでもいる。日本人は誰もいなかった（多分）。さっきのモスクも白人が写真を撮っていた。またピート通に戻り東に歩いてKuan Yin Temple（観音寺）に行くと寺院前は縁日みたいな屋台がいっぱい出ていた。境内では桃色の線香束を持った人が一心にお祈りしていた。ここは物乞いがいなかったし観光客も少ない。
セント・ジョージ教会、ペナン博物館（休館）と白亜の西洋風建物が続く。ピット通一帯は見応えある建物の宝庫だ。ヒンドゥー寺院 スリ・アリアマン・テンプルの屋根、塀には面白い極彩色彫刻。暑さでTシャツがジト～としてきた。歩くなら朝にするべきだ。タクシーでホテルまで帰る（18RM）。
汗だくになったのでプールバーでトロピカルカクテルを飲む。グリーンミントとかで美味かった。ついでにホットドッグ（大皿プレート）も注文。ビーチを見ながらノンビリ食べた。プールバーには白人しかいなかった。日本人も多く泊まってるはずなのに何所に行ってるんだろう。ツアー、ショッピングに連れ回されてるんだろうか。外人みたいにリゾートを楽しめば良いのに。プールは深く背の立たないところもある。日本だったらプールはガキの遊び場だが、ここは年配のオッサン、オバチャンのリゾート。こんな高級ホテルに子供連れは似合わない。
夕食時間までベランダに出てコーヒーを飲む。ジャングルウォークは水曜日に催行。7時10分、迎えの車でムティアラ・ビーチ・ホテルに行く。途中ゴールデンサンズで2人拾ってから。ラササヤンからパームビーチ辺りまでの道筋にはバティック、小物、レストランが立ち並び賑やかだった。歩いたら面白いだろう。船を象ったレストランもあった。
ムティアラのロビーではピアノ四重奏の生演奏中だったが客は少ないし活気がなかった。落ち着いたという感じじゃなかったなあ。ザ・キャッチに着いて嫌な雰囲気、舞台前の席だ。ショーを見ながらディナーとのことで……料理はシーフードらしいから少し期待する。先ず出てきたのは肉団子?、フカヒレスープ（詞子は油っこいからと食べない）??、次はメインのロブスター???、中華コースじゃないか。こいつも伊勢エビの少しの身が油濃いソースで混ぜてある。どこがシーフードなんだ、でも中華系のシーフードはこんなんか。このまま油ぎった料理を食べさせられてショーを見せられたんじゃ堪らん。係の女性を呼んでホテルまで送らせた。明日もこんなんだったらイランと言っておいた。
期待していたのに、油の所為で胃がむかつく。腹は減ってるから昨日の和食レストランに行き梅茶漬け、シャケ茶漬け。ここの女将（中国系マレー人）は日本語が上手い。雰囲気も料亭の女将で通用する。やっと腹具合が収まってきた。次は昨夜行きそびれたフェリンギ・バーに。カウンターは女性、ソファーに座りギムレット、グァバジュース。甘めのギムレットだった。寝る前にJTBスタッフから電話が掛かってきた。
２月２６日（月） ペナン・バタフライ・ファーム ラササヤン・ホテル 【快晴】
今日も日の出は7時過ぎ。7時前だと外はまだ真っ暗だ。朝は鳥の声が建物に反響している。ケロケロという声やインコみたいなキュピッピーとか。8時前に朝食、日本人の癖が抜けない。今朝はコーヒーガーデン、100itemとか言うけどあまり変わらないし少し狭苦しい。ソバなどの和食もあった。明日はまた元のところにしよう。
9時半頃JTB担当者から電話があった。今日の夕食を他に変えようか、とのことだったがこれ以上付き合わされるのもシンドイから止めた。タクシーでバタフライ・ファームに行く。“片道か往復か”と聞いてきたが良く分からんかったので“リターン ウォーキング”というと通じたよう。この運チャンは入園手続きまでしてくれた。入園料5RM。
中は網に囲われた1500㎡のケージ。飛んでいる蝶は日本のとほとんど変わらなかった。トゥドゥン姿の女性が多く、外人（白人）もよく入っていた。蛇コーナーには3種の蛇がいた。横長で目も細長い緑色の蛇（Long-nosed Whip Snake）、Mildly Venomas…弱毒性か。次はペナン名物のヨロイハブ。三つ目はツートンカラーのなんとかで無毒の奴。蛇園があったら見学してみたい。トカゲ、イグアナなど爬虫類、擬態の昆虫類のコーナーもあった。
隣の森林植物園にも入ってみたが英語案内はなく木にマレー語で書かれた札がぶら下げられていただけ。マレー人家族が弁当持参で来ていた。子供達はプールでバシャバシャ、斜面の所々に休憩所が造られていた。道はもっと上まで続いていたけど止めた。
椰子、イチジク、バナナが茂る車道をブラブラ歩いて帰る。20分ほどでテロク・バハンに着いた。ムティアラ・ビーチ・ホテル前の浜は泳げそうだったが宿までまだ5kmあるし、もう12時半、腹減った。途中で食べようと探したが中華以外のレストランは全部閉まっていた。夕方オープンの所ばかり。舟形レストランは開いてたけど内容がイマイチ。結局ラササヤン・ホテルまで食べずに歩いてしまった。バタフライ・ファームから7km、ジャングル・ウォークなみの距離だ。フェリンギビーチ・レストランも準備中だったからコーヒー・ガーデン。ビール、サテー盛合せ、生野菜。アーモンドソースが美味い。値は高め、トータル44RM。ここはインド系スタッフが多い。
部屋に戻り着替えてからプールで一泳ぎした。タオル係は留守だったので勝手に持ち出した。水は冷ためだったが泳いでいたら適温になってきた。寝椅子で少し横になっただけでヒリヒリ。本を読むには暑すぎる。慣れた白人達は良い日陰を選んでいる。喉が渇いてきたのでプールバーで昨日と同じカクテルを注文。リゾート気分満喫。
さて今夜の食事は何処にしようか。さきに明日のシャトルバスの予約をしておく。ここは完全予約制で時間が記入されたボーディングパスをくれた。朝10時の片道切符。帰りは何時になるか分からんから、タクシーで帰るつもりだ。
シーフード料理をと海岸レストランに行った。英語メニューを読むのが一苦労。詞子は油ダメ、肉ダメなので、スタッフにハチャメチャ英語と身振りで伝えたが。ともかくノン・オイルの料理を選んだ。海老蒸し煮、野菜煮物、魚グリル・ミックスベジタブル付、タイガービールで46RM。50RM渡すと釣りが還ってこない。チップ込みと思われたか。
帰りはゴールデン・サンズ・リゾートの中を通ってみた。長期滞在用リゾートらしくしっとり落ち着いた佇まい。玄関ロビーで生演奏中。パームビーチは人影なし。ラサ・サヤンに戻るとライトが点されぐっと賑やかになる。バーベキュースタンドのメニューを見るとシーフードも載っていた。明日は此処にするか。ロビーラウンジで一服。詞子はアイリッシュコーヒーとミニケーキ3個、こちらはアイスティー（ノンシュガーと言うのを忘れた）。このアイリッシュティーは芸術的、ブランデーを燃やした青い炎が上から下に落ちるのを見るだけでも価値がある。客が2人だけなのに生演奏が始まった。スタッフは若いインド人が多い。
２月２７日（火） ペナン島滞在 ラササヤン・ホテル 【快晴】
今朝も7時30分起床。毎日同じで8時までに明るくなってくる。日本なら曇かなと思う空も雲一つ無く晴れてくる。でも遠くまで見えるような澄んだ晴方じゃない。今日は極楽寺に行く予定だったが、昨夜部屋にあったマレーシア観光案内を読んでいたら対岸のバターワースにペナン・バードパークとやらがあるらしい。日本から持ってきたガイドブックには出ていないが、港から車で5分と書いてあったのでそちらに行きたくなってきた。
朝食はガーデンテラスでビュッフェ。内容は変わらないけどユッタリ食べられるのがいい。日本じゃ何所もせせこましいからなあ。インド洋彼方を白い船が北を向いて航行している。マラッカ海峡なんだから外洋航路の船か。
シャトルバス発10時。予約して乗ってるのは外人（白人）ばかりで日本人は我々だけ。タダなのに。ジョージタウンのシャングリラ・ホテル前まで約20分。上等のバスでクッションが効きすぎ詞子は吐く寸前だった。外人は降りる時にチップを渡していた。
マガジン通を抜けバンタイ通を曲がると海が見えてきた。今10時半、コムター周辺の交通量がメチャ多い、特にバイクが。みんなヘルメット被りノーヘルはいなかった。街中には中国正月の名残か大きな彩色線香が家々の前で燻っていた。カラフルな仁王様のような絵柄。白壁の通に煙の臭い、この辺りは中国人街なのか。
バターワース行フェリー乗り場まで来ると色鮮やかなトゥドン姿の女性が目立ってきた。ちっちゃな子供からバアちゃんまで好みのを付けていた。足下は裸足のサンダル履き。ヤオハンの下着売り場では白黒のブラ、カラフルシャツが並べてあったからムスリムでも違いがなさそうだ。JTBの観光コースだとこんな風景は見られない。
フェリー待合所に入る。行きは無料、帰りに20RM払う仕組み。桜島フェリーみたいに24時間営業。人、車、バイクがいっぱい。外洋航路船着き場に大きく白い船が入っていた。バターワース港はペナン側よりも異国情緒がある。色とりどりのトゥドン女性、ターバンを巻いたインド系、中国系、マレー人、白人などが混ざり合っていた。タクシーと交渉、待ち時間を含め1時間で50RM。少し高いように思えたが歩くと片道7KMある。地図の表示がマイルなのをキロだと勘違いしていたんだ。
この炎天下を歩くのはキツいし、向こうのタクシーはないらしい（本当かどうか分からんが）。タクシー料金は市内10RM、市外は15RMと決められているようだった。歯小渡・博入園料4RMにカメラ代1RM。ここも中国人（系）が多い。広大な園内にダチョウ、キーウィ、ペリカン、フクロウ、ミミズク、オウム、コンゴウインコ等々、詞子はムチャ狂喜。1時間タップリ掛かった。出口の売店でペーパーナイフ、ブックフォルダー（10RM）を買う。マンゴーアイス（1RM）も一つ。周りは高級住宅地風ニュータウン。
1時半頃バターワースに戻りすぐにフェリー乗場。ペナン島にショッピングに行く人も多そうだ。乗場3階の百貨店みたいな所で果物を探したがドリアン、ランプータンなどはなかった。20RMコインを投入して乗船。フェリーには白人バックパッカー風のが何人かいたが日本人は見当たらない。真正面にコムターと時計台が見えている。熱帯の昼下がり心地良いエンジンの響きにウトウトしてきた。ボルネオ島ほどの自然はないけど、空は快晴、海面がキラキラ光り眩しい。ペナンヒルがボンヤリ霞んでいる。行き交う船はどれも満杯。来る時は白い客船2艘停まっていたが3艘になっていた。
ペナン島着。ほとんどの乗客はバスに向かう。こちらの格好から一目で外人と分かるのだろう、タクシードライバーが声を掛けてくる。サンダル履きばかりで靴履いている人間などほとんどいないんだから。時計台かなと思っていたのはウィスマ何とかという西洋風ビルだった。
暑いので近道、バンタイ通からカピタン・クリン・モスク前を通って帰った。もう昼過ぎ、どっかで食べたいけど言葉が通じないし勝手が違うからは入れない。シャングリラ・ホテルで食べようと我慢した。でもホテルに着いたのが2時45分でランチタイムが終わっていた。ヤオハン、コムターで探したが食べられそうな所がない。ヤオハンでプラムジュースを飲んだだけで出てきた。
コムターを出たところでタクシーとトライショーが声を掛けてきた。帰りはタクシーにしよう。ラサ・サヤンまで15RM、昨日より3RM高いけどマアいいか。大型バスよりタクシーの方が車酔いしない。バツーフェリンギ道路沿いは高級住宅が建ち並んでいた。ヒンズー寺院もありユックリ写してみたい気もするが。
ホテルでタンドリーチキンの昼食を期待していたんだが、こっちも閉まっていた。今日もコーヒーガーデンでグァバジュース、ビール、ミックスサンド。喉がカラカラだったのでビールが美味い。今日は日本人らしきカップルが多かった。
ビーチで一泳ぎ。すぐに深くなり遊ぶ雰囲気じゃない。波は高いし透明じゃないし。ゴミ、廃油ボールなどはなかった。夕食までバルコニーでコーヒーを飲んで過ごした。ノンビリした旅だ。7時半夕食、バーベキューレストラン（テピラウト・バー）でシーフード・バーベキュー（35RM）。ロブスター、キングプローン、貝柱、サーモンとサラダバー、スープ、コーヒー、紅茶、プチケーキ、フルーツ。焼くのは時分でやる。美味かった。椰子の木陰で星を見て波の音を聞きながらのディナー、いい年になっても良いものはイイんだ。
賑やかな声が聞こえてきた。今夜はプールサイドでもブッフェが開かれていた。コーヒーガーデンに行くとインド舞踊ショーが始まっていた。ダンサーはインド系女性2名、男性2名でかなり上手い。ロビーでは昨夜のバンドが歌っている。今回行かなかったホテル内レストランはフェリンギ・グリルとシャンコートの2箇所だけとなった。フェリンギの方は行く気もなかったがシャンコートの“ハニーデューサゴ”は食べてみたかったのでチャイナ服（エメラルドグリーンに深いスリットが入った）姿のオネーサンに“オンリー・デザート”と聞くと“OK”。ブツブツのサゴヤシ、メロンジュース、アイスクリームのスクランブル、スープみたいに見えるが飲んでみるとヒンヤリして甘く爽やか。ウ～ン確かに絶品だ、来た甲斐があった。
２月２８日（水） ペナン（マレーシア航空）クアラルンプール（マレーシア航空） 【快晴】
毎日同じような快晴の日が続く。一年中変わらんのかな。気温も年中温暖、天災無し、食料豊富、資源も有り余る、そりゃ人間もノンビリしてくるわな。片や日本は灼熱から極寒、天災何でもあり、自前の食料僅か、資源無し……正反対なんだから。
そんな恵まれた国なのにマレー語の本、テレビ番組が少ない。環境によりひとの人の性格が造られる。この国に生まれたらアクセク働く気も起きないだろう。今日は帰る日、1日中ボケ～として過ごせば良いんだが悲しき日本人の習性で寸暇を惜しみ観光したくなる。朝食後のウォーキングで絵地図でも描こうかとペン片手にやってみたが、初めてのことは上手く行かない。暑さもあるし。
ゴールデンサンズ・ホテル先で山側に曲がり小道を辿ると牛が飼われていた。中国人学校、マレー人学校、民家の間を歩いていく。観光客のいる表通りは綺麗だが一般集落に入るとゴミも目立つ。中国寺辺りで道路工事中だったので引き返した。ホリディ・インの横に出て昨日のバティック店（インド系）に寄ってみた。一つだけ値切って買った。
昼食はタンドリー・チキンと決めていたのにそれはディナー・オンリーだと言う。またもコーヒーガーデンでエビサラダ、詞子はフィッシュ・チキンサラダ、どちらも美味かった。食後一泳ぎしてからプールバーでカクテルタイム。日本人の女の子グループ（2人組、3人組）がいた。外人でこの年頃グループは皆無だから日本人だとすぐに分かる。若い外人はカップルばかり。
このホテルは中年以上の夫婦ばかり。信用出来ると言うことなのか。6時前にチェック・アウト。追加料金581RM（約25000円）。長めの8日間コースにすりゃよかった。7時までガーデンを見ながら待っていると民族衣装を着た少女たちが通って行った。手にタンバリンを持って端の方で集まっていた。いったい何が始まるのかと思っていたら結婚式の様子。ガーデンテラス横に式場が設えてあった。ケニーさんが来た時に丁度始まった。
帰りは13人、来た時の女の子2名、男5人組と4人組、みんな独り者みたいだった。ペナン空港は何時も混んでいる。ここで出国手続きをしてしまう。入る時よりは簡単だ。高目のチョコレートを土産に買った。
クアラルンプールまで約45分。10時20分頃到着。ここでマズった、皆に付いてバスに乗ったはいいが国内線出口に行くバスだった。おかしいと気づき係員に聞くと“32番ゲートに行け”。またバスで国際線待合所まで運んでもらった。出発ロビーには土産物店がワンサカある。マレーシア航空MH52便11時59分発。離陸してすぐにドリンクとピーナッツ、それから軽食にサンドイッチとマンゴープリン。朝食もあるらしいが5時起こされたんじゃなあ、夜行便に乗るのは初めてのこと。
２月２９日（木） 関空着 【曇】
5時頃に朝食を聞いてきたがさすがに断った。元気な若者たちはこの時間でも食べていた。南米系のサッカー選手らしき団体が乗っていた。アナウンスによると到着地（大阪）の気温は5℃、常夏の国から極寒の国に戻った。関空着7時20分。あっと言う間の6日間だった。吐く息が白い、寒い、現実世界の再開……シャングリラだったなあ。